マリストの思い出「あの時代と場所を共有した者たちへ」

 熊本マリスト学園が共学になってから、私は何度か訪れていますが、 ずいぶんと学園の雰囲気が変わってしまったという印象を持ちました。
思春期の6年間を全寮制の男子校という特異な環境で過ごした私にとって、 校内に女性とがいるということ事態が考えられない出来事です。 しかも「あの制服」は反則です。 どんな女の子もあの制服着ただけでかわいさが20%upします(一部例外はありますが)。
私が通っていた頃はまわりのどこを見てもヤローばかりで陰鬱な感じでした。 ちょうどペレストロイカ以前のソ連邦のように、重苦しい空気に支配されておりました。 しかもエンジ色の「だしゃー」制服のせいで、街に出れば「マリちん」呼ばわり、ホモ扱い、 人々に後ろ指を指される日々でした。 加えて寮に帰れば理不尽な先輩と凶暴な寮監との闘いの毎日です。 何度マリストを辞めようと思ったことでしょう。
しかし、今となっては懐かしい思い出になってしまうから不思議です。 何年かぶりに再会した仲間とも母校の話題に尽きることはありません。
熊本という土地柄、自分の出身高校に愛着を持つというのはよくある傾向ですが、 マリストOBのそれは愛校心というよりは別の何かだという気がします。
私は何度かマリスト同窓会に参加していますが、そこでは先輩、後輩といった垣根を越えて、 歳の離れた「仲間」の集まりという印象を持ちました。 こういう同窓会というのは珍しいのではないでしょうか?  例えるならば、学園祭の前にみんなで集まって御輿を作っていた時のような、そんな空間でした。
共学になって寮生の割合が減ってきていると言われています。 あの独特な寮の文化が失われつつあるというのは寂しいですが、 マリストファミリーの精神はずっと受け継いでいって欲しいものです。

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