矢上氏の贈賄事件について

去る4月11日、贈賄容疑で逮捕された矢上雅義村長の初公判が熊本地裁で行われた。

矢上氏は1993年の衆議院選で初当選をして以来、熊本県政の中心で活躍してきた人物だ。 マリストOBでもある矢上氏は梶尾真治先生の「泣き婆伝説」(ハヤカワ文庫)のモデルになったこともある。 そして、ダムの建設に揺れる相良村長に就任後、村の助役をめぐる人事で贈賄したとして今回の逮捕、裁判に至った。

私は一連の経緯を知って大変悲しかった。

私が矢上氏を知ったのは1992年の参議院選だった。

当時、私は高校生で、矢上氏は選挙カーでマリストの前を通ったことがあった。そのときに目撃したのが矢上氏だった。

昔の矢上氏は資金も組織もなく、手作りの選挙ビラを自転車で貼ってまわっていた。

周囲の人はそんな矢上氏を嘲笑っていたが、次第にそれを知ったマリストOBが手伝うようになり、段々と人が集まるようになった。

1992年の参議院選は惜しくも落選だったが、次の1993年の衆議院選は当時の日本新党から初当選した。このニュースは浪人中の私の励みになった。

しかし、この衆院選を境に矢上氏の周辺は大きく変わっていくことになる。

今まで支援していた人たちが離れていき、キナ臭い人物が周囲を囲うようになる。

「ダム建設反対→賛成」といったように、発言も今までの政治姿勢と正反対のことを言い出すようになってしまう。

今回の事件はその結果起こった事件だった。

ダム建設推進派の建設会社関係者を村の助役にするため、金銭の授受をおこなったという容疑で逮捕されたのだ。

・・・・・・まったく、どうしようもない。

矢上氏には事実関係を明らかにし、利権がらみの人物との付き合いをやめ、頭を丸めて一からやりなおしてもらいたいと切に願う。

もう一回自転車に乗って、支援者のところに一軒ずつお詫びして回るのが、人としてあるべき姿だと思う。

・・・・・・それにしても政治は怖いものだ。

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